« 2014年2月2日 - 2014年2月8日 | トップページ | 2014年10月5日 - 2014年10月11日 »

曲がった道

猪木寛至氏(アントニオ猪木)が引退のセレモニーにおいてファンの前で次のような詩を読んだ。



   この道を行けば

   どうなるものか

   危ぶむなかれ

   危ぶめば道はなし

   踏み出せば

   その一足が道となり

   その一足が道となる

   迷わず行けよ

   行けば分かるさ



彼の著作「アントニオ猪木自伝」で彼は語っている。


・・・ 最後に、新日本プロレスの道場訓にもしている、一休禅師の詩を読んだ。

この詩こそ、私の人生そのものだからだ ・・・



多くのメディアでも取り上げられたため、またたく間にこの詩は多くの人の知るところとなった。

「この道を行けば・・・」と聞けばプロレスファンでなくとも「一休」を連想するほど有名な言葉になった。


ある人は自身の座右の銘とし、ある人は卒業式ではなむけの言葉として学生の前で披露した。

インターネットを調べても多くの人がこの詩に魅了されていることがうかがえる。

確かにこの詩にはそれだけの魅力があるとは思うのだが・・・


言うまでもないが一休禅師は室町時代の禅僧である。

「一休禅師がなんで現代詩をつくるのか?」という疑問を誰も持たなかった事が私には不思議だ。

猪木氏の道場訓には「道」という表題までついている。


小中学校時代に詩に出会った人ならば上記の詩は現代詩であると答えるだろう。

うまく説明できなくとも、そういう匂いを感じると答えるだろう。



1966年、私は大谷大学の哲学の講義で暁烏哲夫先生に出会った。

西田幾多郎の「善の研究」の講義だった。

西田については今もって理解しているとは言えないが、

徹底的に本質に迫る姿勢は、ハンカチで鼻の汗を拭うしぐさとともに今も鮮明に眼前に浮かぶ。


先生の本が出たと聞いて、学内にある「文栄堂」書店で買い求めた。「無常断章」850円だった。

その中の一つの詩をすぐに暗記した。表題は「道」である。



        道

      


   此の道を行けば

   どうなるのかと

   危ぶむなかれ


   危ぶめば

   道はなし



   (著作権の問題もあるのであとは割愛する)

                         
             昭和二六年一〇月「同帰」所載


1966年京都・法蔵館発行。 本の著者名は清沢哲夫となっている。

清沢(KIYOZAWA)先生は松任の明達寺(暁烏敏の寺)に養子として入られたため暁烏姓を名乗られた。             



猪木寛至氏が何故「一休禅師」の作としたかはわからない。

しかし、「道」は清沢哲夫の詩である。

私が問題とするのは社会の対応だ。


意図的な嘘であれ、ミスや思い違いであれ、

間違った情報が何の検証を受けることもなく社会を駆け巡ったことだ。


国立S大学学長のA氏や某学園副理事長といった、

誰もが名前を知っているかたがたも「一休禅師の詩」をあちこちで披露したのだ。

多くのアナウンサーやパーソナリティーが「一休禅師の詩」として発言したのも知っている。


インターネットでもこの「一休禅師の詩」が氾濫していた。

出所はすべて猪木氏の引退セレモニーでの詩の朗読にあったと思われる。


著名人の発言の影響力がいかに大きなものであるか、

現代人の文化水準が如何に低いものであるか思い知らされたことである。

本など読みもしない、そのくせ知ったかぶりを装う人々は原典に触れようともせず、

安易に他人の言葉に従ってしまう。


インターネットの匿名性の危険は改めて言うまでもないが、

人々は匿名の情報を真実として受け止め、それで行動する。


インターネットの情報がすべて「一休禅師の詩」であるとされていれば

それだけで猪木氏の発言が検証されたことにしてしまう。

もとは猪木氏から始まっていることなのでこれは検証にもならないはずなのに。

    

私はインターネットで「一休禅師の詩」をとりあげているほとんどのサイトへ間違いであることをメールで伝えた。

間違いを指摘され感謝する人、平身低頭で謝る人、事実を知って驚く人、いろいろだった。


驚いたのは開き直った横浜の某出版社の社長である。

曰く、「風雪に耐えてきた名言に対してお前ごときが何を言ってるか」・・・


何が風雪に耐えてきた言葉だ。アントニオ猪木の発言以前にこの詩を読んだとでも言うのか。

アントニオ猪木によって知ることになったくせに一丁前の口をたたくな、と言いたい。

この出版社がどの程度の本を出版しているか想像に難くない。


中には「清沢哲夫という説もある」と書くアホまでいた。

「・・・という説もある」とは研究者が言うことであって、ネットからしか情報を取ろうとしない者の言うことか。

猪木氏にもメールで指摘をしたのだが、何年経っても無視したままである。

猪木氏の本を出版した新潮社からも何の返事もない。



国立国会図書館のレファレンス協同データベースに、

「一休禅師の詩」とされているものについて調査しても調査不能であると書かれていた。

連絡したところ、図書館が「清沢哲夫」の作であると確認した。


以来、インターネットは一変して「清沢哲夫の作」となった。

原典を読まない連中のインターネット頼みもいい加減にしろ、と言いたい。

私と図書館が「大うそ」をついているかもしれないという警戒感はあんたらにはないのかい!


私が指摘したことで「清沢哲夫」が多くの人の知るところとなった。

「一休禅師の詩」も「清沢哲夫」の詩の改作であることがわかってもらえた。



しかし、これは氷山の一角ではないか。

気づかないうちに私たちは歪められた事実を見せられていないか。

考えると恐ろしい社会である。


情報は生きていくための指針ともなるし、思想形成のベースでもある。

それが歪められては社会も個人もその将来が危ういものになる。


思えば今の時代、メディアはリーク報道だらけ。

それが記者の仕事と思っているのではないかとさえ見えてしまう。

事実ではないことが紙面に載っても、納得のいく形で謝罪した例を見たことがない。

傷つけられた方は人生そのものが台無しにされても救済されないのだ。


取材能力がなくリーク報道しかできない人は記者を辞めるべきだ。

ペンもれっきとした暴力になるのだから。


まずは、「この記事はリーク情報を元にしたものであり、新聞社が事実と確認したものではありません」

すべての記事にこのような但し書きをつけて欲しい。(化粧品のコマーシャルのように但し書きをつけるべきだ)


松本サリン事件、厚労省局長事件ではメディアは無実の人を犯罪者のごとく扱ったではないか。

二つの例は無実と証明されたが、証明されることもなく泣いていた人も大勢いるのではないかと思う。


アメリカも日本も自由な国、民主主義とはほど遠い暗黒時代だ。

メディアがコントロールされ、自由な発言が制限されていることを市民は知っている。


談合疑惑でたびたび処分を受けている企業の社長に報道番組の司会をさせるメディアとは何なのか、

市民感覚では納得ができない。


東京新聞(中日新聞)はよくやっている方だと思う。

文屋魂を感じる記事もまだある。私はそこに光を見る。

高校時代の恩師、「八田有親」は卒業の餞として「曲がった道をまっすぐ歩きなさい」と

言って送り出してくれた。


メディアにはまっすぐな道を照らしてもらいたいものだ。












呆けたか 尾関宗園
http://gravitational-wave.air-nifty.com/tobenaiposuto/2013/week23/index.html#entry-76701858


♪ お薦めブログ

Copyright (C) 2012 えちごや all rights reserved

« 2014年2月2日 - 2014年2月8日 | トップページ | 2014年10月5日 - 2014年10月11日 »

脱原発で日本再生

ようこそとべないポストへ

更新情報はRSSリーダーでご確認ください

  • Subscribe with livedoor Reader
2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

ただいまの時刻は・・・

水のごとくに  無文翁

「私」という宇宙

文言で語る世界      文言でしか語れない世界

そったらことも      わからいでかの

"さんづけ"を多用する社会

危険ゾーンに入ってきた

こうして戦争へ向けた世論が形成されていく

感じませんか

紛争解決に尽力することが先だ

ユニオンジャックのガラス窓

原爆許すまじ

政に想定外はない

子どもの声が届かない

永田町住人たちの犯罪

永田町住人たちの犯罪2

その『神様』とは・・

クリーンなイメージ???

投票時間繰り上げ

私たちは騙されない

これでも放送受信契約を結びますか?

小異を残して大同につく

上意下達(じょういかたつ)

100年経っても変わらない

オリンピックはスポーツか

おせんで泣かすな

手袋をしていませんか

そもそも そもそも論が欠けていないか

風評じゃない!

何ひとつ解決できていない

誘導されていませんか? その法務行政

みんなちがってみんないい

65歳以上の独居老人に福祉は必要か?

厚労省は自由診療体制に誘導か?

奇妙きてれつ

会員No.1095

PURPLE RAIN

ニュートラルにするということ

バイタルサインを測る

異変を見逃す若者

現代詩を詠む一休禅師

沢庵和尚も浮かばれません

呆けたか 尾関宗園 

We shall overcome

ウソつかない政党

フォト

ココログの水辺

季節と共に・・・・・  アーティスト和泉淑子からのメッセージ

被災地の声

すてきな blog たち

こころ

我ら いきとしいけるもの

図書館

おすすめの本

おすすめの映画

日本の随筆

日本の詩

日本の文化

Aida____________Nikolaychuk

幸せの情景 荒木経惟

カルチャースクール   社交ダンス(初級)

Audio

中古盤 輸入盤 国内盤 アナログ盤 CD

科学の世界へ

小出裕章氏情報土曜21:00~

外国政府の検閲用FireWallを超えて、 世界に自由にアクセス

911冤罪被害者    山崎淑子さん   

主権は私たち市民に

生活の党 森ゆうこ

森ゆうこ著書

生活の党 東 祥三

いまだから 安心のフード

  • ずっと、赤ちゃん品質 | 和光堂
  • 妊娠~育児 楽しい食のおいしいサイト わこちゃんカフェ

食生活を豊かに

たいせつにしたいね   お茶のひととき

白山伏流水の恵み

からだ

香りのある暮らし

と~ってもさわやか

和泉淑子の宝石のような ギフトフラワー

園 芸

真の車をめざして

空もよう

我々はどこまで近づいたか

無料ブログはココログ

RSSを表示

RSS登録はこちらから

  • Subscribe with livedoor Reader

アクセス数

トップに戻る